第25回本公演『岸田國士戦争劇集』

作:岸田國士 構成・演出:谷賢一
2022年7月5日(火)~7月19日(火)全30ステージを予定

日本の近代劇に多大な影響を与え、今も「演劇界の芥川賞」と呼ばれる戯曲賞にその名を刻む劇作家・岸田國士。戯曲や評論を数多く執筆し、文学座の創設にも携わるなど演劇界に大きな影響を及ぼしました。しかし彼が戦争中、1940年から1942年にかけて大政翼賛会の初代文化部長に就任し、終戦後には戦争指導者の一人として公職追放の処分を受けていたことはあまり知られていません。

岸田國士は戦争をどのように見ていたのか? 岸田の「戦争劇」を並べて上演することで、岸田と当時の日本人が戦争をどのように見ていたのか浮かび上がらせます。

日露戦争へ出征する兵士夫妻の心の揺れを克明に描いた傑作『動員挿話』(1927年)。また太平洋戦争へ出兵する若い兵士を描いた『かへらじと』(1943年)は、戦時中に書かれたたった一つの劇であり、かつ大幅に検閲を受けた点でも注目すべき短編です。劇場での上演は上記2作ですが、関連プロジェクトとしてラジオドラマの台本である『空の悪魔』、わずか1ページの短編『戦争指導者』なども取り上げます。

「この人を戦争などに出すことはいやでございます。戦争はおろか、一日別れていることさえ、わたくしにはできません」


「戦争に行くのが偉いのなら、戦争に行かないことだって偉いはずよ。そうでしょう、人を殺さないですむんですもの」


「戦争っていうものは、芝居みたいなもので、いい役者だけが手を叩かれるのよ」
「今日だけではない、明日も明後日も、いや、あと何年続くかわからぬ戦争をあくまで勝ちぬくことが、われわれ兵隊の重い任務だ」

「自分のようなものは、本当に死ななければ……どうせ満足な働きはできんと思っとります」

「戦場においては、死にまさる奉公なし」

「明日は五人倒せ。明後日は六人倒せ。そうやって百人倒したら、わしがまた会おう」
※左『動員挿話』、右『かへらじと』より一部抜粋

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上演作品

劇場での上演:

  • 『動員挿話』(16000字、約1時間/登場人物6名)
  • 『かへらじと』(18000字、約1時間/登場人物18名以上)

関連上演あるいは配信(形態未定):

  • 『戦争指導者』(643字、約1分/登場人物2名)
  • 『空の悪魔(ラジオ・ドラマ)』(10000字、約40分/主要登場人物6名)

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出演者

出演:阿久津京介、東谷英人、倉橋愛実(以上DULL-COLORED POP)、荒川大三朗、石川湖太朗(サルメカンパニー)、石田迪子、伊藤麗、越前屋由隆、函波窓(ヒノカサの虜)、國崎史人、齊藤由佳、原田理央(柿喰う客)、ふじおあつや、古河耕史、松戸デイモン、渡辺菜花

※全役ダブルキャスト・2チーム上演(チーム分け・タイムテーブルは後日発表)

声の出演:石井泉、小野耀大、小幡貴史、勝沼優、椎名一浩、田中リュウ、服部大成、間瀬英正、溝渕俊介、宮部大駿

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スタッフ

作:岸田國士 構成・演出:谷賢一(DULL-COLORED POP) 演出助手:刈屋佑梨、石井泉 美術:濱崎賢二 映像:松澤延拓(株式会社カタリズム) 照明:緒方稔記(黒猿) 音響:佐藤こうじ( Sugar Sound) 衣裳:友好まり子 制作:DULL-COLORED POP 協力:アゴラ企画、アトリエ春風舎 助成:公益財団法人セゾン文化財団

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チケット

前売 一般:3500円 学生:1000円引き
プレビュー公演:1000円引き(学割との併用不可)

※6月上旬〜中旬に一般発売開始予定。全席自由。整理番号順のご案内。

当日 すべて500円増 配信:3500円

スペシャルチケット

全部乗せチケット(DULL-COLORED POP演劇学校関連企画
本番を楽しむだけでなく、本作品の時代背景や創作過程まで含めて楽しめる上に、パンフレットや台本・公演の記録映像まで手に入る「全部乗せ」チケットです。個別に買うより圧倒的にお得!
価格:8000円 特典1. 谷賢一による講義『岸田國士と近代演劇史』および『作品解説』受講可能 特典2. 試演会(本番前通し稽古)見学可能 特典3. 公演パンフレット+上演台本+公演の記録映像DVD付き(映像特典:出演者による座談会動画)

※特典1・2はいずれも7/2(土)・7/3(日)に開催予定。オンライン視聴可能です。

クラウドファンディング先行予約(ほか特典多数)
一般発売より先に予約可能。「ざっくり指定席」によりお好みの席を指定可能!

※ざっくり指定席とは……「最前列希望」「舞台全体が見やすい後方席」「通路に近くて出入りしやすい席」など、お客様の希望を「ざっくり」伺って、その席を指定席としてキープしておくシステムです。

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会場:アトリエ春風舎

〒173-0036 東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
TEL 03-3957-5099(公演期間のみ)

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クラウドファンディング:今月スタート予定

コロナ禍による客席減、公演中止リスク、感染症対策費用の増加などで小劇場は今も手痛い打撃を受けています。そんな状況下でも充実したクオリティの作品を提供するために本公演ではクラウドファンディングを実施します。お客様のニーズに合わせた特典も多数ご用意! ぜひご支援のほどよろしくお願いいたします。

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構成・演出:谷賢一よりメッセージ

昨年の秋くらいから、また『福島三部作』のときのように長い徹底的な取材をして芝居を書いてみたいという思いがむくむくとわいてきました。自分には書けないようなものを書きたいと思ったときには、長い取材をして自分以外の声や言葉・視点にしっかり浸らないといけません。何かそういう題材はないか?

そこで浮かんできたのが戦時中の岸田國士というテーマでした。当時の資料や文章などを読むと、大政翼賛会文化部長という明らかに「体制側」に属しながら実に複雑な葛藤を抱えていたことが伺えます。

そして自分は昔から、本当に戦争反対を訴えるならむしろ戦争を賛美・賛成する人間の台詞を書かなければならないのではないかと考えていました。なぜ人は戦争を賛美・賛成するのか? 戦争とはどれだけ魅力的なのか? そこを克明に描かなければ「戦争」の恐ろしさは見えてこないのではないか。『動員挿話』で「人を殺さなくて済むのだから戦争に行かないのは偉いこと」と書いた岸田は、その16年後には『かへらじと』で自分の命を捨てて敵を殺し、まさに火の玉のように散る若者の姿を英雄のように描いています。

よし『岸田國士の戦争(仮)』を書こう。そのためにはまず岸田の書いた戦争劇を全て上演してみよう。本気で、いい俳優を集めて、そして非常に厳密に当時の時代背景や状況をリアリズム的に検証して……。

そう思ってこの公演を用意していたら、ウクライナで戦争が始まってしまいました。今ロシアの国民の8割は戦争賛成だそうです。「私は正しい」と思った者が最も大きな過ちを犯すのは今も昔も変わりません。

出演者の大半はオーディションを経てオファーしました。どの作品も戦争に駆り出される若者たちの話ですから20代が多いのですが、惚れ惚れするような才能が集まりました。また30代以上の俳優は実力派のベテランが居並んでいます。演劇とは違う視点から世界を見る行為に他なりません。若い才能たちとたくさんのディスカッションを経て、なぜ当時の私たちが「戦争に行こう」と決心したのか、その視点・視座を解き明かしてみようと思います。ぜひ劇場でご覧下さい。

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