第14回本公演『河童』

これはある精神病患者、第23号が誰にでも喋る話である。

「──人間! 馬鹿で、浅はかな、いやらしい、うぬ惚れきった、残酷な動物ばかり! その点、河童たちの社会は、合理的、先進的、人間的……、ィャ河、童、的、な、素晴らしいところ。(苦笑し)まだ疑ってらっしゃる? 私はこの目で確かに見ました。河童たちの暮らす国、完璧に幸福な理想郷を!」

吉祥寺シアターの大舞台、所狭しと踊り狂う、20万匹の河童たち! 人間とは真逆の常識に生きながら、「完璧に幸福」に生きている河童たちの生活とは? 芥川龍之介が晩年に、その絶望と苦痛を裏ッ返して描いた怪作『河童』を下敷きに、現代社会の矛盾と行き詰まりを揶揄嘲笑するDULL-COLORED POP渾身の音楽劇。

音楽担当には、アマヤドリやクロムモリブデンへの楽曲提供で活躍中の悪い芝居・岡田太郎を招聘。さらに、独特の個性を爆走する4人の振付家、伊藤今人(ゲキバカ/梅棒)、中林舞、堀川炎(世田谷シルク)、長谷川寧(冨士山アネット)が参加、四者四様のアプローチで舞台を人間で彩ります。

「ク、狂ってるのは俺じゃない、お、お前らだ! クァッ!」

Contents

公演概要

日程 2014/7/18(金)~7/27(日)
作・演出 谷賢一(DULL-COLORED POP)
原案 芥川龍之介
音楽 岡田太郎(悪い芝居)
振付 伊藤今人(ゲキバカ/梅棒)、中林舞、堀川炎(世田谷シルク)、長谷川寧(冨士山アネット)
出演
(※50音順) 東谷英人、大原研二、中村梨那、百花亜希、若林えり(以上DULL-COLORED POP)、天羽尚吾、一色洋平、井上裕朗、今村洋一、岩瀬晶子(日穏-bion-)、内田悠一(レボリューションズ)、港谷順(劇団→ヤコウバス)、小角まや(アマヤドリ)、澄人、平佐喜子(Ort-d.d)、ドランクザン望、ナカヤマミチコ(アロッタファジャイナ)、浜田えり子、東ゆうこ、三津谷亮、山中一美

タイムテーブル

7/18(金) 7/19(土) 7/20(日)

13:00~  13:00~
19:30~   18:00~

7/21(月・祝) 7/22(火) 7/23(水) 7/24(木) 7/25(金) 7/26(土) 7/27(日)
13:00~                                       14:00~    14:00~   13:00~   13:00~
18:00~                       19:30~  19:30~                     18:00~

アフタートーク決定!

7/24(木)14時~ トークゲスト:谷賢一×芥川龍之介
※芥川龍之介先生がお見えにならない場合は、作・演出の谷賢一が一人でお送りします。

会場

吉祥寺シアター

〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-33-22
Tel: 0422-22-0911

チケット

S席:5,000円 A席:4,000円
U-25:3,500円(A席のみ取扱)

一般発売:6/1(日)10:00~
DULL-COLRED POP https://www.dcpop.org
チケットぴあ http://pia.jp/ (PC/携帯/スマートフォン共通) 0570-02-9999 (Pコード:437-548)
イープラス http://www.e-plus.jp/
吉祥寺シアター(6/3~)

▼劇団先行(Web抽選)

5/29(木) 23:59まで受付中!
(結果発表:5月30日(金)18:00)

http://pia.jp/sp/dcpop14s/

※PC・モバイル・スマホ共通
※画面の指示に従ってお申し込みください
※無料会員登録有/WEB抽選

お問い合わせ

info@dcpop.org

河童アイコン提供: イラストわんパグ

作・演出の言葉:芥川先生へ

高校生の頃からずっと、先生の作品を読み続け、先生のことを考え続けてきました。はじめて全集を買った作家も、先生でした。先生が1892年生まれで、僕が1982年生まれ。どちらも長身で目つきが悪いものだから、「僕は先生の生まれ変わりなのかもしれない」とドキドキしたりもしました。巣鴨にある先生のお墓に、普段は吸わないゴールデン・バットを携えてお参りし、白昼、思わず涙がこぼれ、嗚咽して、他の墓参り客に眉をひそめられたこともあります。

先生、あなたは何故、死んでしまったの? ぼんやりとした不安、なんて言葉では足りますまい。事実、先生もこうお書きになっている。

「誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない」。

『河童』は、明るい作品です。ユウモラスな作品で、先生特有のセンチメンタリズムという奴も色を潜めている。しかし先生、僕には見えます。あなたが娑婆苦の暗さ・重たさを裏ッ返して、軽く明るく「河童」の生活を描き出そうとした、その途方もない苦痛と絶望、その暗さ・重たさが。めそめそした悲嘆の言葉より、キッと唇結んで歯を食いしばり、明るく笑って生きている人の言葉の方が、僕にはよほど悲しく思われる。だから『河童』は、とても悲しい。

吉祥寺シアターをひたすらポップに震撼させる音楽劇『河童』。これは明るく楽しい作品です。娑婆苦を忘れて、ポップでユウモラスな河童の生活を楽しんで下さい。7月24日には、先生。特等席をご用意して、お待ちしております。

注1・娑婆苦:芥川の多用した言葉で、生存苦というような意味。「娑婆」、すなわちこの世に生きる苦しみのことを指す。芥川はこんな言葉を残している。「人生は地獄よりも地獄的である」。
注2・7月24日:芥川龍之介の命日。作品の名前にちなんで、『河童忌』と呼ばれている。