百花チーム座談会

──まず順番に自己紹介をお願いします。

平吹:平吹敦史(ひらぶきあつし)です。ゆき男役です。
木村:木村望子(きむらもちこ)です。よし子役です。
小林:小林春世(こばやしはるよ)です。黒猫役です。
廣田:廣田彩(ひろたあや)です。茶猫役です。
大島:大島萌(おおしまめぐみ)です。とも美役です。
今野:今野誠二郎(こんのせいじろう)です。けん太役です。
佐藤:佐藤千夏(さとうちなつ)です。まち子役です。
川上:川上憲心(かわかみけんしん)です。高梨役です。

──百花さんの演出はどうですか?どんな風に稽古が始まるのでしょうか。

今野:「名前鬼」……。
小林:毎日、「名前鬼」から始まります。
平吹:読み合わせは、最初の一日だけでした。
小林:二回目からは立稽古です。
大島:この前は、一回通しもして。
小林:もう、通しました。
平吹:かなりスペシャルな(笑)。誠二郎君が住んでいる古民家というかシェアハウスをお借りして。
佐藤:共有スペースのリビングが丁度良い感じで、ここで感覚を掴めたらいいねって。
一同:猫もいて、楽しかったですね(笑)。
今野:なんか、夢だったんですよね。家でやるのが。
木村:ダメだしの紙に猫ちゃんが乗っかったりして、途中で止まったりして(笑)。

──お家みたいな所で稽古すると、家族感のようなものが出てきたりして?

今野:最初は住みたいなとか思ったりして。
一同:そうそう、合宿みたいな(笑)。全然やりたい(笑)
小林:うちら猫はキャットフード食べたりしてね(笑)。
大島:アットホーム具合で言ったら、他のチームを知らないのにこのチームが一番だと思ってる。
一同:チャンヌ(百花)のチカラが大きい気がする。うん、絶対。
小林:なんだろう、普段は俳優なので目線が一緒で、本人もおっしゃってたんですけど上に立つのではなく、同じ目線で先頭に立つみたいな。
私たちが心を開きやすいお稽古を一日目からしてくれています。
今野:ロックのライブみたいなノリで。コール&レスポンスみたいな、ノリやすい稽古をしてくれていますよね。
平吹:ノートって言っているけど、みんなへのディレクションが彼女の独演会みたいになっていて。
佐藤:全身で表現して言葉を下さるので、すごく伝わってきます。
一同:うん、来るよね。

──みなさん、百花さんと共演した経験は?

平吹:あなた(川上)だけじゃないかな?
川上:本当ですか?
小林:うん、ほとんど知らない人を取ったっておっしゃってました。
川上:百花さんは一緒に舞台に立ちたい人だから、演出席に座ってられないんですね。
自分が黒猫をやっていたので小林さんのシーンでは百花さんも立ち上がって、小林さんのセリフにあわせて一緒に動きをトレースしたりして。
その時は「こっちの気持ちの方が良いんじゃないんか」とかって、確かめてるんでしょうね。
それをみて「私(百花)はこういう気持ちなんだけど、どうだろう」とかって、確認しながらダメだしをしているように見えますね。
小林:視線を役者と一緒にして、っていう感じが強いですね。
今野:茶猫の時もやってるよね。
小林:この子(廣田)、本当に売り出したいんです(笑)。うちのイチオシです(笑)。
平吹:百花さんも本当に茶猫の動きを楽しんでるよね。
一同:一緒にやりたいんじゃないかな。
廣田:私は言語化するのが苦手で、あまり意見なんか言えないんですけど。それを汲み取ってくれて、寄り添って広げようとしてくれるんです。
一同:愛を感じます(笑)。

 

 

──みなさん、この作品は観られたことはあるんですか?

小林:ある人とない人がいます。半分位かな? 観たことがあるのは3人ですね。

──役が割り当てられたときの印象はどうですか?

小林:私は意外でしたね。
廣田:黒猫はピッタリだと思いますよ。
一同:(笑)
小林:だとしたら、すいません(笑)。
私はこの作品に出たくてオーディションを受けたんです。ダルカラの作品の中で一番好きで、基本的にいつも気の強い女の役が多いので、年齢的には「まち子」か「とも美」だと思ってたんですけど。
黒猫でしかも一度も共演経験のない私が百花さんチームで、なんで? って思いました(笑)。
佐藤:うん、今までは百花さんがやってらした黒猫をやるんですものね。
小林:私と百花さんは全然違うタイプだから、なんで? とは思いましたけど、嬉しかったですね。みんなはそれぞれの役にしっくりきました?
平吹:俺は思いがけずにって感じで、俺41歳なんですけど、けん太には年齢が行き過ぎてるし、お父さんには若いし。
小林:そうね、お父さんには若いかなぁ。
平吹:やるんだったら、よし子をやりたいなって思ってたんですよ。
一同:あ~ぁ、なるほどね。
平吹:そうかぁ、お父さんかぁと思って。
でも個人的には挑戦しがいがあるなぁと、ありがたいと思ってます。
今野:僕はやるとしたら、けん太しかないかなとは思ってました。オーディションの時も、けん太やって。
もともとはこの作品を知らなくて、ダルカラは『演劇』と『1961年:夜に昇る太陽』しか観たことなくて。でも戯曲を読んだ時にメチャクチャ面白くって、これに出られるって光栄だなと。
これまで、こんなに面白いって思う作品に巡り合ってなくって。稽古に時間をかければかけるほど面白くなるっていう自信があるなかでやるのはこんなに楽しいんだって思ってますね。
一同:すごーい(全員納得)。

小林:毎日楽しいって言ってるのはそういう理由もあるんだね。
今野:事務所を辞めて初めての仕事で、いろいろけん太と重なることがあって、今大学生なんですけどメチャクチャ単位落としてて、留年してて(笑)。
家を出てシェアハウスに住むって時も親とメチャクチャ喧嘩したりして、父が今年60なんですけど、定年したらどう過ごすんだろうという思いもあって。
この間ふと父が「俺、昔の夢はバックパッカーだったんだよね」って、漏らしたことがあって、いつか叶えさせてあげたいなって思ってたときに、この作品に出会って。
なんか普段そう思っては居ても、実家に帰るとつい母親に嫌な顔してしまったり、「うっさいなぁ」みたいなことを言って父親に怒られたりして。でも、この芝居の稽古中に実家に帰ると少し優しく出来たりして。
一同:ふ~ん、なるほど。
今野:綺麗に纏まっちゃった。
一同:(爆笑)でも、いい影響があったんだね。
今野:だから同級生には、「親と観に来てください」って言ってます。
家族ってものを行動から変えてしまうようなエネルギーっていうか、メッセージ性のある作品だから、中にはこれを観て熟年離婚しちゃう夫婦とか可能性としてはあると思ってて、ちょっと怖いですけどね。
だから、出来るだけポジティブにやりたいなって思っています。

──木村さんはどんな思いでこの作品に向き合っていますか?

木村:オーディションの段階で、年齢的にちょっと引っかかってて、取り敢えず受けてみるって感じだったんですけど。
本当にやるとしたらよし子しか年齢的になくって、まず一番悩んだのは「生々しいよし子だな」って思ったんですね。これまでは男性だけがやってきた役で、「リアルなよし子」をどうするのか考えたんですね。
男性が演じることで一つのクッションがあって、だからこそ観ててお客さんが嫌にならないんじゃないかな? って思ったんです。すごい生々しいオバさんが演じたら嫌になるんじゃないか。
それを最初すごい悩んで、分からないまま稽古に入って。でも、やってるうちに「私は私しかない」と思ったし、チャンヌ(百花)には「望子さんを選んだんだからね」と言ってもらって。選んで貰った割にチャンヌに凄く苦労かけてますけど、今ね(笑)。
それはそれとして、頑張るんですけど(笑)、「生なオバさんでもアリなんじゃないかな」って、言われるようにできたらなぁって思っています。
私、実際にはもっと年齢の上の子供が居るんですけど、このくらいの子供って可愛いんですよね。怒っても何しても可愛くなっちゃって(笑)。猫も可愛いし、旦那もすごい愛せるし、どうしましょうって感じです。
平吹:やってることはお芝居の一場面ですし、セリフは辛辣だったりするんですけど、奥さんがいて子供がいてっていうこの状況が、楽しいなって幸せだなって思えるんですよね。

──このチームは一番現実味がありますよね。

小林:そうだね、リアリティはあるよね。舞台だと年が上の人が演じることがありますけど、実際に今野くんが大学生だったり。生々しさはありますよね。
今野:丁度、同じ悩みを抱えてたりするし。
小林:強みだね、それは。

──最後にチラシにもある「幸せって、何かしらねぇ?」という質問をさせてください。

一同:(う~ん(笑))
小林:私は、好きな人達と居ることです。以上(笑)
大島:私は、「幸せってなんだろう?」って考える隙がない状態が幸せなんだろうって思います。
一同:うん、うん。
大島:「幸せってなんだろう?」と考えるってことは、幸せじゃないのかなって。
平吹:僕もなんか「幸せだなぁ」ってふっと思えるその瞬間が、ずっと続くといいなと思っていて。自分が生きてる今が楽しくて、それの連続がいいかなって思ってます。
木村:のろけて良いですか?
一同:どうぞ、どうぞ(笑)。
木村:夫と馬鹿話してる時です。
一同:あ~ぁ、なるほど。いいね。
小林:なんか、泣きそう(笑)。すごい良い、それ。具体的で超イイ。
平吹:悔しいくらいイイね、それ。
一同:(同意して頷く)
小林:さぁ、これ以上の回答が出るのでしょうか?
一同:(笑)
佐藤:う~ん、悩んで見つけられないほど、今幸せなのかもなって。会いたいって思う人に会いに行けるし、ぱっと思いつかないってことは十分に幸せなのかなって思うし。
平吹:あとはね、美味しいものを食べてね。
一同:それは大事なこと。
廣田:うんと~。
小林:来ましたよ、うちの茶猫が(笑)。
廣田:色んなことがあっても、夜の寒い時に息を吸うと空気が美味しいのが、「生きてるぜ」って感じがして。夜の空気って幸せです。「明日も来るよ」っていう感じが幸せ。
一同:お~お。
平吹:生命体として大切なことだね。
川上:いいですか? 僕はもう、右に同じです。

──右は僕(司会)ですが(一同、笑う)。

川上:希望があるのは幸せかなと思いますね。目標があるとか、やりたい事があるとか、未来に生かされてる時とかは幸せだと思いますね。
今野:僕は幸せじゃないって時がないので。
一同:すごいね、落ちたときがないの? 挫折もないの?
今野:仲間もいて、好きなこともやってて、両親も生きてて、何の不自由もなく今楽しいから。
小林:答えは今、すごいなぁ。
川上:うわぁってなった時、教えてね。ピンチの時(笑)。
小林:LINEグループで教えてください(笑)。

──以上になります。ありがとうございました。